この子の母で良かった

それから、静かに時間が流れていきました。
お兄ちゃんからの返事はありませんでしたから、家庭教師のトライさんには事情をお話し、受講開始を待ってもらっています。
トライの担当者の方が、快く受け入れてくれたことだけが救いでした。

 

そうして、3週間ほどが過ぎたでしょうか?
お兄ちゃんはお兄ちゃんなりに、色々な人に相談し、答えを決めたようです。

 

兄「お母さん、俺やっぱり北高目指す」

 

私「それでいいの?」

 

兄「他の学校の吹奏楽部も考えたんだけど、いつの間にか北高自体に惹かれてる自分がいたんだ」

 

私「これから試験まで厳しい時間が増えるわよ」

 

兄「分かってる。でも俺、やってみたいんだ」

 

私「そこまでやる気があるのなら、お母さんは心から応援するからね」

 

兄「ありがとう。受かったら俺、市民楽団とか探すんだ。学校関係なく、好きなチューバを吹ける場所を自分で見つけてみせる」

 

そう言って笑ったお兄ちゃんの自信に満ちた顔に、私はそっと気付かれないように涙を拭きます。
いつの間にか立派に成長していた息子の姿に、この子の母で良かったと改めて思いました。

 

次の『 楽しく実りある時間 』へ

 

 

 

家庭教師のトライショートストーリー 』を最初から読む