今年で最後の吹奏楽部

私「お兄ちゃん、どうしたの?」

 

兄「…………」

 

私「黙ってちゃ分からないわよ」

 

兄「…………って」

 

私「何?聞こえない」

 

兄「…………北高の吹奏楽部、今年で最後なんだってよ」

 

泣きながら叫ぶように口にしたお兄ちゃんの言葉に、私も呆然としてしまいました。

 

私「嘘。だって……去年もコンクール出てたじゃない」

 

確か、賞は受賞しなかったものの、常連組として舞台に立っていたはずです。

 

兄「俺、北高目指すってみんなに言ったんだ。そしたら」

 

私「そしたら?」

 

兄「北高の吹奏楽部の顧問が去年変わったんだって。その顧問が指導力なくて、部員が離れていって、来年は廃部になるって……」

 

私「そんな……」

 

私にとっては、吹奏楽部の存続よりもなによりも、お兄ちゃんの心の傷が心配で、胸が痛くなります。

 

私「北高受験、どうする?」

 

兄「ちょっと考えさせて」

 

お兄ちゃんの将来はお兄ちゃんが決めるものです。
だから、私は口出ししないようにしてきました。
けれど、もし北高を目指すのなら、大学進学を考えた場合にも有利になりますから、応援をしてあげたかったのです。

 

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